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500体のこけしに貴重な限定本 長年、愛好者が通いつめる店
JR神田駅から徒歩3分。神保町めぐりの際は、限定本と趣味本、こけしを扱うこの店に、ぜひ足をのばしたい。「こけし屋か古本屋か迷うくらいこけしを揃えている店」と、古本ライターの岡崎武志が『古本道場』(ポプラ社)に書いている。確かに、2階の棚にこけしが500~600体並ぶさまは壮観である。多いときは700~800体のときもある。
「こけしを扱う店は一時期、都内に5、6軒あったんですが、いま本格的にやっているのはうちぐらい。愛好者は大学教授、弁護士さんなどインテリの人が多い。週末の夜、店でこけし愛好者の会合があるんですけど、皆さん『心の安らぎを感じる』と異口同音におっしゃいます」と、店主の比屋根英夫さん。同じく限定本やこけしを扱い、限定本ブームの火付け役となった店「吾八」の出身である。吾八は1937(昭和12)年、山内金三郎さんが西銀座・数寄屋橋で開業。出版事業も手がけ、雑誌『これくしょん』『限定版手帖』や数多くの限定本を発行していた。
店のショーケースの中には、錚々たる限定本が並んでいた。作者肉筆の文章や絵、版画が入っていたり、装丁に趣向がこらされていたり、奥が深い世界である。 「限定本の最大の魅力は、活字の美しさを味わえること。今の印刷形態だと初版であろうと、100刷であろうと刷り上りはほとんど変わりません。その点、活版の初版は原版刷り。活字が磨耗していないので美しい。字に圧がかかって紙面に凹凸が出るぐらいの感じ、インクの匂いが漂ってきそうな世界なんです。活版印刷は今の印刷と違って、和紙など、さまざまな紙に刷ることができたんです」
代替わりで限定本が出回り、一時期30万円~40万円だった本が今は10万円前後で入手可能だという。「今は限定本を買うチャンスです。若い方々がもっと好きになってくれたらと思います」と笑顔で語る比屋根さんであった。
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| 三笠書房から出版されていた月刊誌。小塚省治作の木版手摺の蔵書票、石丸重治氏の蔵書票つき。 |
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