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戦前から続く 書や古硯のよさを伝える店
「法帖出版・書道用品」の店である。「法帖」(ほうじょう)とは書道の手本のこと。開業は戦前。「中国で探してきた古い拓本の中から良いものを選んで出版して欲しい」という、ある書の大家の願いに従って、先代が法帖の出版を手がけるようになった。資金不足だったので、書道の用具も商い、その利益を出版につぎ込んだのだという。
2代目の廣瀬保雄さんは、東大の学生だった20歳のころ店を継ぐ決心をした。もともと書は好きだったが、法帖を作るための良い拓本を見分けるにはそれなりの目を養わなければならない。独学で続けるうち中国の古い書を鑑別できるようになった。さらに掛け軸の扱いもはじめた。「景気のよい時は、それこそ、どんどん本にできて楽しかったですね。今も本を出したい。でも最近は用具も売れないので、本につぎ込む金がない。新刊はもちろん、既存の本の重版さえできない状態です」。廣瀬さんは残念そうに語る。
書道用品・南画用品(水墨画を基調とした東洋画)の目録は年1、2回発行し、全国の顧客に発送している。古硯の目録は89年、91年、97年に出したきりだ。2階のショーウインドウには、宋から晋時代の貴重な古硯もあるが、残念ながら新たに目録を作る余裕がないのだという。「掛け軸と硯が好きでたまらないんです。特に、古硯を見ていると、作った人やその時代のことが思い起こされ、時間が経つのを忘れるほどです。古硯の目録には自分で文章を添えていました。古硯へのラブレターですね」
書は東洋美術の基本であり、絵をはじめ、さまざまな分野の基本になるものだ。「書は人間そのものです。絵よりも書のほうが人との結びつきが強い気がします。何百年後でも、その人が書いた墨痕がそこにあるのは不思議な感じがしませんか。梅崎龍三郎や正岡子規など、昔は書家以外でもいい字を書く人が多かったんですが、今はあまりいませんね」と廣瀬さんは、無念な思いを口にした。あらゆる人に、書や古硯の魅力を伝えたいと願っている。近々、インターネットのブログを開設し、思いの丈を綴っていく予定だ。なお、2階には貸し画廊があり、この界隈では手ごろな値段に設定しているという。
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| 『北宋拓本雁塔聖教序』 |
| ?遂良(著)/清雅堂/平成3年 |
| 『王義之蘭亭序 ~張金界奴本~』 |
| 清雅堂/2000年 |
| 前者は初唐の三大書家、?遂良の楷書の中でも代表作品といわれるもの。後者は飛ぶように売れるこの店の人気商品。 |
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