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ミステリーマニアの店主は この分野の目録的存在
白山通りの小さな路地を入ったところに、ちょこんと佇む8畳くらいのスペースの古書店。無類のミステリー好きの店主、田中聡史さんが18歳の頃から約20年間にわたって集めてきた古書が、ところ狭しと並んでいる。
以前は、同じく白山通り沿いにある「奥野カルタ店」の一角を借りて、ゲームに関するミステリー小説を中心に展開していたが、手狭になったことから2001年に現在の場所に店を移した。それでもまだスペースが足りず、自宅にも古書を敷き詰めているそうだ。
作品は戦前から近代まで、著者は国内外問わず、本格派やハードボイルド、ミステリー総論、探偵、SFなどのミステリー全般がそろう。かと思えば、たまに『ハンカチの上の花畑』(安房直子)などの幻想童話も混じっており、書棚は眺めているだけでも楽しい。 ミステリーの中でも最近多いのが、鮎川哲也や都築道夫などの本格ミステリーものだという。両氏の初版本は、出版数が膨大なため全てとまではいかないが、全冊近くそろっているというから見事だ。
ミステリー作家を目指して、時代・ジャンルを問わずより多くの本を読もうと、足繁く通うお客もいれば、ミステリー好きの両親とともに訪れる中高生、会社帰りにフラッと立ち寄る40代前後のサラリーマンまで、客層はさまざま。週に何度かは何冊か本を入れ替えているため、週1ペースで新顔の本をチェックしに来る人も多いとか。
昔ならではの推理小説を探すのも楽しいが、ミステリーマニアの田中さんとの会話もまた一興だ。毎日1冊は本を読み、その中でも古い本をマメに読み返しているという勉強熱心な田中さんだが、本人は、「まだまだ勉強不足ですよ…。でも、ある程度のガイドラインが示せたり、こういう本が読みたければこういう順番で読んだほうが楽しいですよ、というアドバイスもできるような、目録的存在になるのを目指しています」と、謙虚に語る。どの本にしようかと決めかねているお客から相談されると、「その作家さんならその本よりこちらの方がおもしろいですよ」とアドバイスをする田中さん。その正直さが信頼感に繋がり、固定ファンを増やしているのだろう。友だちの部屋を訪れる感覚で、気軽に立ち寄れる親しみやすさが、この店にはある。
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| 『大衆小説の世界 ~幻想怪奇・探偵・SF~』 |
| 荒俣宏(著)、石上三登志(著)、小隅黎(著)、谷口高夫(著)/九藝出版/昭和53年 |
| ミステリーの起源や流れを説いた、いわゆるミステリーの入門書。これから読むとミステリーが一層おもしろくなるのは必至。 |
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