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創業当時から文庫一筋 岩波文庫の品ぞろえが秀逸
1950(昭和25)年頃、半畳分くらいのところで開いたのが店舗の始まり。それ以前は、現店主川村貞子さんのご主人が、学生時代に自分の蔵書を路に並べて売っていた。その後、「どこかの大店に入って修行したほうがいい」という周囲の勧めを断って、自分で店を始めたという。その頃から、文庫専門。名前もずっと変わらない。川村さんは、店舗を構える少し前にご主人と結婚して以来、一緒にこの店を支えてきた。「子育てもお店でしましたね。本当に最初の店はこんな狭いところで」。1958(昭和33)年に現在地へ移転。店構えはその当時のままだ。ご主人はすでに他界されており、今は川村さんが店を守っている。
店内を見渡すと、岩波文庫、岩波新書の多さに目がいく。それも、創業当時から変わらないという。「一番最初に出版された文庫は岩波文庫ですからね。やっぱりどこか意気に感じていた部分はあるのかもしれません」。昭和の初めの岩波文庫は、大きさがまだそろっておらず、本棚に入れると背の高さが違う。一番初めに発売された『実践理性批判』も、上巻が少し大きくて、中下巻は小さいという。
岩波新書は番号順で並んでいて、売れるたびに在庫を補充している。 「版によって、赤だったものが青になったり、黄色になったり装丁が変わりますし、3冊本が2冊になったり、おもしろいですね。流行もありますし。一時、何人もの人がいっぺんに探していたかと思うと、ぱたっと動かなくなったりして」。最近は、インターネットで店の情報を得て、地方からくる客もいるとか。
店内には、「この道より我を生かす道なし この道を歩く 八十四歳 実篤」という武者小路実篤の書が掲げられている。 「主人が学生時代に『新しき村』村外会員だったんです。大学を出た後も実篤さんの警護みたいなことをやっていたようで。主人はその言葉通り、独自の道をいったんですよね。今も毎日、いい言葉だなあって見ています」 川村さんはそう言って目を細めた。
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| 『蒙古史』(上・下巻) |
| ドーソン(著)、田中萃一郎(訳)/岩波書店/上巻 昭和11年、下巻 昭和13年 |
| 上下とも初版。ジンギスカンの事蹟から元末にいたる蒙古の盛衰を説いた名著。現在は出版社在庫切れ。 |
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