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良寛作品にほれ込み、店を開業 書の魅力に開眼する楽しみも
扉の奥によもやこれほどの逸品があるとは感じさせないたたずまい。古書画、硯・古筆などを扱う、まさに知る人ぞ知る店である。店主の萬羽啓吾さんは良寛作品をはじめとする書の目利きとして知られる。なにしろ、萬羽さんが見出した催馬楽(さいばら:平安初期ごろに成立した歌謡の一つ)の掛け軸に記された文章が証拠となって、源氏物語の解釈が一部変わったほどなのだ。萬羽さんは、コミック「天道」(劇画・神田たけ志 原作・向谷匡史、日本文芸社)に登場する人物のモデルにもなった。
萬羽さんが書に魅せられたきっかけは、良寛作品との出会いだった。 「うまい下手を超えて、書に感動したのは初めてでした。一目見たら居ずまいを正さずにいられないものでしたよ。そんな書を扱いたいと思って店を始めたんです」 掛け軸「孟冬是十月~(もうとう これじゅうがつ)」は、良寛、円熟期の名品。 「これ以上、崩せないほど崩して、文字の枠を取り払ってから再創造しています。言ってみれば“書のキュービズム”ですよ。書をこれほどアバンギャルドに見せた芸術家は彼が初めてだと思います」と萬羽さん。書にしろ、硯や筆にしろ、良いものには侘び寂びを超えた美しさがある。一生のめり込んでしまう美しさでもある。
名品ぞろいとあって、気軽に足を運べる店ではないように思える。それでも研究者、医師、大学関係者など、来店者は絶えない。最近、何十万円もする硯に惚れ込んで買った学生がいたそうだ。ガラスケースには古書もある。何度も来店するうちに、店の奥の逸品を見せてもらえるかもしれない。この世界への入口は、望めば誰にでも開かれている。
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| 安政勤王八十八廷臣のひとりで、1814年に生まれ、1890年没。幕府の強引な開国政策に反対する尊王派のひとりだったが、のちに公武合体派に転じた。 |
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