|
状態の良い専門書を安価で提供 講談社学術文庫の品ぞろえが光る
「講談社学術文庫は、うちが買い支えているんですよ」 村山書店のウリの一つである講談社学術文庫の話になったとき、店主の柳川正徳さんはこう言った。もともと建築・理工書が専門である村山書店を先代の急逝で引き継いだ柳川さんは、まったくの素人からのスタートだったという。そして、何かウリにできるものはないかと必死に目を光らせていたとき、最初に目をつけたのが講談社学術文庫だった。
「均一台から比較的早く売れていくんですね。これはひょっとしたら需要があるのかなあ、と思っていた矢先、たまたま数百冊のまとまった束が市に出たんです。それを思い切って高値で買ったところから、スタート。目録を見ながら一冊ずつ一生懸命調べて、その後も市に出るたびにとにかく仕入れることにしました。在庫があってもとにかく買い続ける。そうやって『講談社学術文庫をまとめて出せば村山書店が買う』という評判をつくっていきました。そうすることで市場にモノが集まるんです」
柳川さんが買い支える、といったのはこのことだ。村山書店が買わなければ、講談社学術文庫は散り散りになってしまう。それをまとめて引き受けることで在庫を支え、日本中の「探している人」に応える。かなりのコストと在庫リスクが伴うため、それなりの高値をつけなければならない。しかしそれも、その一冊を長年探し回っている人のため。興奮したお客様が「日本中を探してたんだ!」と大声をあげたこともあるという。 「そういうときは、やっぱり嬉しいですね。同時に、どういう本が求められているのかという勉強にもなります。講談社学術文庫を通して勉強したことが、他の自然科学系の専門書を集めるときにも生きてきますし」
もちろん、扱っているのは講談社学術文庫だけではない。建築・理学・数学・心理・哲学・歴史・法律などのコンディションのいい専門書を、できるだけ安く提供している。それに加えて、音楽やカメラなどの趣味の本も並ぶ。店内にはTANNOYというメーカーの古いスピーカーからクラシックやジャズが流れていて、一度入ると落ち着いてしまい、ついつい長居してしまう。 「お土産を持って帰っていただけるようなラインアップ、というのを目指しています。神田に来ればどんな本でもある、という期待に応えられるように、『今日はこれが買えた』と喜んで帰っていただけるようにしたいですね」
 |
 |
| 『近世日本国民史 徳川幕府鎖国篇』 |
| 德富蘇峰(著)/講談社/昭和57年 |
| 徳富蘇峰が全100巻にわたって書き続けた『近世日本国民史』の講談社学術文庫版は残念ながら全て絶版だが、村山書店にはずらりと揃っている。 |
|
|
|